Googleが2020年8月よりインドでピープルカードの検索機能を開始しました。これがフリーランスや個人事業主、起業家などに対して営業ツールとして大きな影響をもたらすのでは無いかと期待されており、今後ビジネスにおける繋がりが大きく変化していくことも予想されます。
今回は、そんなGoogleの新しく追加される仮想名刺の検索機能「ピープルカード」についてご紹介します。
※2020年8月現在、日本ではサービスの提供はされておりませんのでご注意ください
ピープルカードとは
Googleがインドで開始した検索の新しい機能の1つが、Googleアカウントに紐付けられた名刺情報を検索できるというものです。これはピープルカードと呼ばれ、起業家や個人事業主、フリーランスが色んな人と結びつくためのツールとして利用されることが将来的に期待されています。
Google検索と名刺の連携
名刺を電子化したり、DBで管理するということは多くのサービスが提供していましたが、ピープルカードはそもそもが違っています。アカウントで登録されている情報を、一般公開するものとして新たに作り上げ、それをネットワーク上へばら撒くといったシステムになります。いわばSNSに近いものだと言えるでしょう。
ですが、ここにGoogle検索の機能が連動しているというのが最も大きな点だと言えます。例えば業務委託先のフリーランスを探している企業が、「業務委託 WEB フリーランス」と調べるだけで、それに該当するユーザーが見られるということになります。これは、検索エンジン等強みを持っているからこそできることであり、Googleの強みに個人で活動をしているようなフリーランスや起業家にとっては非常に強いプラットフォームを手に入れたということになります。
ですが、ここで問題に上がっているのがなりすましです。Google側としても1アカウント1ピープルカードと制限を設け、なりすましをしている場合は通報ができるようになど様々な対策をしており、全世界へ本格的なリリースとなればより精度の高い対策を打ち出してくることになるでしょう。もしそれがクリアできれば、これはフリーランス業界だけではなく、ビジネスという枠そのものに大きな変化をもたらすことになるでしょう。
メインターゲット
今回のメインターゲットは、やはりフリーランスや起業家など個人で活動している人たちになります。今まではSNSアカウントを育てあげたり、自サイトやブログを育て検索に強い状態を作り上げるなど、それぞれの業界や使いやすさに合わせて取り組んでいましたが、このサービスが軌道に乗れば、まずスタート地点としてピープルカードを作ることから始めるという流れが出来上がります。SNSではプライベートで楽しんだり、ビジネスツールとして利用するユーザーがいる一方、ピープルカードはビジネスを目的としているということが魅力の1つなのです。
また、企業側からしても大きな恩恵を受けられます。
これまでも個人から企業を探すことは比較的容易でした。会社HPはもちろん、採用情報など公開情報は多く、調べればある程度見つけられるからです。ですが、個人の活動情報は思っている以上に出回っておらず、会社から個人を探すのはクラウドソーシングなどを使わなければ中々見つけることが叶わず困難なものでした。それがGoogle検索で実現するとなれば、より企業側が負担していた時間も費用も軽減されるのです。
企業とフリーランスのこれから
ピープルカードが多くの世界で提供されて普及すれば、これまでのビジネスのあり方や人とのつながり方が大きく変化することになります。それは企業・フリーランス問わず言えることです。
では、どういった部分に大きく影響を与えるのかを考えてみましょう。
人材採用の変化
企業側に大きな影響を与えると予想されるのは人材採用の部分についてです。これまでのように求人を出して応募してもらうという形式から、企業が個人を見つけ出してアピールするというカタチに変化していくのです。他にも、会社に務めるということ自体が今以上に需要がなくなり、業務委託という形式が増えることも予想されます。個人としても報酬がよく、会社としても必要な期間だけ依頼できて、雇用関係というしがらみがないというメリットを今以上に実感できるようになるでしょう。
もちろんこれは技術職などを中心としている業界においてです。福祉の業界や人手そのものが必要とされる企業や部署等ではピープルカードそのものを活用するメリットが無い場合もあるため、100%がこれに依存するということはないでしょう。
営業対策がSEO対策に変わる
これはフリーランスや起業家にとって大きな影響を与える部分になります。これまでは人脈というものを作るために異業種交流会へ参加したり、電話や飛び込みなど様々なカタチで営業活動をしていたかも知れませんが、ピープルカードそのものを作り込んで、それが検索で上位に来るようにするSEO対策自体が評価される時代になる可能性は十分に考えられます。
ただ、SEO対策といってもどういったものが上位に表示されるかなどはわかりませんし、今後どういった評価基準が設けられるかどうかもわかりません。最初から考えられるのは、検索ユーザーのエリアに近いユーザーがヒットしたり、知名度の高いユーザーが上位にくるということぐらいです。名刺は限られた範囲に必要情報やアピールする内容を詰め込まなければいけません。強い印象を与えるためにも顔写真を含む名刺を使っている人は多いでしょう。
ピープルカードに関しても、写真は重要な要素となるはずですし、アピール文も長文入力ができたとしても、名刺という扱われ方をする以上はその殆どが読まれない可能性が高いため、短い分で魅力を伝えられるような、1枚企画書作りのセンスが求められるでしょう。
話術ではなく技術
今までの営業で重要視されていたのは話術です。コミュニケーション能力の高さが案件数に比例しており、技術はあれば評価されていましたが、案件を獲得するという点においてはさほど重要視されていませんでした。ですが、ピープルカードのように検索して注目されるのは話術ではなく、どれだけのスキルを備えているかになります。
もちろんピープルカードの文章力も影響しますし、実際にコンタクトをとった際のコミュニケーション能力は少なからず影響するでしょう。ですが、検索でユーザーが見つかる以上、それを比較することも非常に簡易化することになります。
ポートフォリオなどの作品を比較することはもちろん、スキルや実績を比べることも容易になりますし、得られる情報量も増えることから、検索ユーザーが把握しているラインも今まで以上に高くなるのです。
いままでのビジネスでは話術8割、技術2割程度の比率でも成り立っていましたが、ピープルカードのようにサービスが普及して一般化すれば、よりバランスの取れた5対5の人材の需要がより高まると考えられるのです。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は「Googleの仮想名刺機能 ピープルカード」についてご紹介しました。
2020年8月ではインドで提供開始となり、日本ではまだ実装されていませんが、このサービスが軌道にのって全世界で提供されるようになれば、よりフリーランスなど個人の時代が加速することになります。
フリーランス、起業家など個人のブランディングを考えている人は、ぜひ参考にしてくださいね。