千利休の利休道歌に以下のような記述があります。
規矩作法 守り尽くして破るとも離るるとても本を忘るな
これは武道や芸道など学びの基礎として考えられ、創造過程のベースとして用いられてきました。これはビジネスモデルを作り上げるという観点から見ても非常に重要かつ、失敗する多くの人が疎かにしている部分です。
今回は「千利休から学ぶビジネスモデルの作り方3ステップ」について守破離の意味とその重要性をご紹介します。
最後まで読めば、あなたも新しいビジネスを生み出すきっかけがつかめるでしょう。
ビジネスの錬金術
独立して自らビジネスを作り上げようと考えていても、いきなり儲かるビジネスが思い浮かぶことはありません。また、「コレは絶対に儲かる!」と思いついたとしても、それが結果となって返ってくる人も本の一握りです。
長期的かつ精巧なビジネスを組み上げていくためには、段階があります。それこそが学習や武道などにおいても採用されている「守破離(しゅはり)」なのです。
そして、守破離それぞれのステップで意識しておかなければならないのが「インプット」と「アウトプット」の両工程です。
守(模倣・基礎)
まず最初のステップにあたる「守」についてです。これは基礎的な部分であり模倣に該当します。
例えば、何かビジネスで勝負しようと考えたときに、いきなり「オリジナリティ溢れる先鋭的なビジネス」を思い浮かべたとしても上手くいきません。なぜなら、過去に失敗例が存在していたり、自分が知らないだけで同じようなビジネスが既に存在している可能性があるからです。
音楽で考えてみましょう。
自分が選んだ楽器をマスターしようと考えた時、いきなりオリジナル曲を作り始める人はいません。まずは音の出し方を覚えてから既存の楽譜通りに演奏できるように取り組むはずです。これこそが模倣から入る基礎であり、古来の武道や芸道はもちろん、ビジネスにおいても必要なステップなのです。
飲食店で勝負しようと考えている人は、まず現在成功している飲食店を模倣することからです。ブログで稼ごうと考えている人は、ブログで稼いでいる人のスタイルを模倣するのです。まずは模倣することで基本的な型を覚え、稼ぐというサイクルを覚えます。
模倣した際、それがただのインプットで終わってはいけません。ここにアウトプットまでが含まれていて初めて「守」のステップが成立します。基礎を模倣することで身につけ、それを実践で用いることが、ビジネスにおいてもファーストステップになります。
破(応用)
模倣することで基礎を身につければ、次は「破」のステップです。これは応用にあたります。
武道に置いても基礎の型が身につけば、体格など自分のメリットを活かしたり、デメリットを補填するなどアレンジをしながら、より効果的な技を作り上げていきます。
これをビジネスに置き換えても同じことです。自分に向いているやり方や攻め方、世界観に応用していくことで、他との差別化が図れるのです。「守」で身につけた基礎があるからこそ、応用である「破」が成立します。
飲食店のモデルであれば、客層に合わせたメニュー改定や提供スタイルの変化、テイクアウトに特化させたり店内のレイアウトなど色んなアレンジが考えられます。
ユーザー層が思ったよりも若ければ、インスタ映えを重視した盛り付けにするというのも方法ですし、客数はいまいちだが1人辺りの単価が高く接待のような場として用いられているのであれば、オープン席を減らし個室を増やすというのも1つの方法です。
いきなりビジネスで応用に取り組んでしまう人に多いのが「自分の視点」で考えた策で挑み、失敗するケースです。あくまで模倣・基礎のステップが合ってこそ問題点が浮かび上がり、その対策や戦略として応用をするのがセオリーです。もちろん事前に問題点が浮き彫りになっていれば別ですが、ほとんどが机上の空論で無駄な応用に時間を費やしてしまっているのです。
離(独自性)
最終ステップは「離」についてです。これは独自性(オリジナリティ)にあたります。
音楽に置き換えて考えると、
守:楽譜通りに演奏する
破:既存の曲をアレンジする
離:オリジナル曲を作曲する
に該当します。
ブログの場合、noteやアメブロなどのモデルは「離」として考えることができます。そもそも自分でブログを更新して広告費で稼ぐというスタイルではなく、ブログのようにユーザーが更新するためのプラットフォームを提供して、そこからマネタイズにつなげようという考え方であり、そのものを作り上げているからです。もちろん、ブログという既存のカタチを残した状態で、そこにネットショップの要素を追加させたり、会員制サイトにするなどといった応用に近いオリジナリティの展開方法もあります。
これらは、守(基礎・模倣)と破(応用)があるからこそ成立します。全くの新規ビジネスに参入すれば、自分の持つノウハウは役に立たず、基本的な部分からの脱却ができずに衰退してしまうのと同じです。
新しいことへ挑戦することは悪いことではありません。寧ろ素晴らしく積極的にアタックすべきです。しかし、守破離のステップが崩れてしまっていれば、ビジネスそのものが成立しないのです。
日本教育の変化
日本の教育に関しても、守破離に沿っていますが、それは現在大きく変わろうとしています。寧ろ、大区分で取り入れられている守破離は古いスタイルだと考えられ受け入れられず、より細分化した高速の教育スタイルこそが時代の変化とともに求められています。
守破離の細分化
現在の教育スタイルは、大まかに説明すると小中学校で「守」、高等学校で「破」、大学で「破〜離」となっていました。ですが、文明の進化と共に様々なツールが生み出され、小中学生でも実現力を持つようになった今では、小中学校で「守」から抜け出せないという事自体が問題視され、年数に関係なく「守破離」のサイクルを取り入れるべきだというのが世論です。これは、厳格なルールに縛られずに教育者側が予測をしないような新たな発想自体が生まれるべきだからです。
高速化する社会では、小学校で基礎として学んだことが、高校生になれば基礎で無くなっている可能性が高く、6年の義務教育ですらワンサイクルで考えてしまえば成立しないからです。そして、これは社会に出た教育にも同じことが言えるのです。
原理原則として「守破離」のステップは重要ですが、その高速化こそが多くの起業家や最前線で挑戦するビジネスマンに求められているのです。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は「千利休から学ぶビジネスモデルの作り方3ステップ!守破離とは」についてビジネスモデルの考え方をご紹介しました。
これから起業して新しいビジネスで挑戦しようと考えている方は、ぜひ参考にしてくださいね。