最近は開発記事が多めだったので、今回は気分転換も込めてみんな大好きコラムのコーナーです。開発疲れという理由ももちろんありますが、久々に考えを書き綴りたくなったというのが本音です。
今回のテーマは「甘い誘惑に気をつけよう」です。高校生ぐらいまではあまり縁がなかったことでも、大学生・社会へと出ていろんな人付き合いをしていくと、何かしら「おいしい話」が舞い込んできます。これを正直にそのまま受け取ってしまい、完全無知で対応してしまえば、それだけで悲惨な結果となってしまうことは少なくありません。
そして、簡単に始められることは意外と「抜け出すのが大変」だったりします。
「儲かります」は儲からない
まず最初に取り上げるお題は「儲かります」という誘い文句についてです。基本的に儲かりますと言って寄ってくる人は疑ってかかるべきだと思っていますが、そういったことは置いておき、よく考えてみましょう。
基本的に「儲かる」ことは人には言いません。これを言うということは、その誘いに応じてくれることで「自分自身が儲かる」からだと思っておいて良いでしょう。例えばビットコインに関しても、爆上がりする直前に一部の人は「これは儲かる可能性がある」と薄々感じていたでしょう。しかし、それを人に言うことは基本的にありません。なぜならそれを言う必要がないからです。
当たり前ですが、自らにメリットがなければ基本的に人は行動しません。中には一部そんなことも考えずに人のためだけにボランティアだと言って動いているような人もいるかも知れませんが、それは稀であり且つかなり変わった人だと考えて距離を置くほうが良いでしょう。
「チャンスです」は自分のため
中には「これはチャンスですよ」「行動しなければ変わりませんよ」などと前向きのような言葉をセールスワードとして推してくる人もいます。ですが、これにも要注意です。
そのチャンスは、別にあなたに対してのチャンスではありません。あくまで勧誘している人にとってのチャンスなのです。
そもそも、チャンスは人に与えられるものではありません。仕事で、大きな仕事を任された時に「自分にチャンスを与えてくれた」と思うかも知れませんが、そもそも突き詰めて行けば「自分の成果が認められたからこそ巡ってきたチャンス」なのです。それを、相手側から押し売りされる時点でおかしいと考えておくべきなのです。
場合によっては、本当にそれが良い方向に転じてチャンスとしてなり得る場合もあります。ですが、それは宝くじを買って当てるのと同じぐらいのことです。寧ろ、外的要因が働いている以上、宝くじよりも確率は低いと思っている方が良いでしょう。
もしそこに資金を投下する必要があるのであれば、その金額を宝くじや競馬の大穴馬券に突っ込む方がよっぽど賢い選択です。なぜなら、それらは確率が低かったとしても当たれば必ずお金が得られるのですから。
得するのは提案者
誰かが何か話を持ちかけてきたとき、その相手は提案者という立場になります。そして、話を持ちかけて来る以上は、その「提案者」に得がなければ成立しません。そして、その大半が「利益(お金)」です。
「お金を目的としているなんてやましい!」と考える方もいるかも知れませんが、むしろお金を目的としていない場合の方が危険です。人間社会で生きていくためにはどうしてもお金が必要です。だからこそそれを稼ぐということはごく当たり前のことだからです。
そのごく当たり前のことをしてこないということは、本当に変わった人なのか、よっぽどのお金持ちでお金を得ることに対してまったく興味がないのか、本当はお金を得ることが目的だが、それを何かしらの理由で隠しているかなのです。
バカか天才か
更にもう1歩踏み込んで考えてみましょう。例えば、何かしら事業やプロジェクトを立ち上げるとなれば、それ相応のお金や時間がかかります。そういったリスクをどのように補填するのかを一度確認してみてください。
よく挙げられるは「お金をかからない方法」です。例えばYouTubeで稼ぐ際に、今自分たちが持っているものを駆使して動画を作り上げれば、たしかに金銭的なコストをかけなくすることは可能です(撮影に使うカメラなど、スマホなどを使うとしても基本的にその料金がかかっているのですが、今回はその点は無視します)。
時間であれば、上手く行かなければそのまま時間を無駄に消費しないように期限を決めるなどしてリスクを最小限に抑えるのが基本的な選択肢の1つです。なので、リミットを設けていないプロジェクトであれば、必ず事前またはどこかのタイミングでタイムリミットを決めて取り組むようにしましょう。
では時間ではなく、初期投資が必要な事業やプロジェクトでお金がかかる場合はどうでしょうか。それを数人で分担して各自の負担を最小限に抑えるのがまず1つの案です。他にも助成金を使ったり、失敗した際にはそのプロジェクト自体を誰かに買い取ってもらうなどが綿密に計画できていればしっかりとリスク回避がされているかも知れません。しかし「失敗したらそれまで」「見る目が無かったね」と簡単に割り切ってしまうような相手であれば、それはよっぽど経営センスの無いバカなのか、実は他の人には言えないような対策を用意している頭の切れる天才タイプかのどちらかです。
そして、もしその際によくわからないワードを並べた対策案を出してきた際は、何か裏があると疑ってみることです。共同事業やプロジェクトをする上で、全員が納得できるような説明ができないのは、よっぽど何かを隠して置きたいのか、それを表面上でしか理解できておらず説明できるレベルにまで達していない頭の足りない人のどちらかです。
賛同者に必要な「交渉術」
提案する側に交渉術のスキルが求められるのは多くの人も理解していることだとは思いますが、本当に必要なのは「賛同者」の立場における交渉です。
よく考えてください。提案者からすれば、賛同してくれなければその提案自体が全くの無に帰します。それは、賛同者からすれば「それに対してYES」と答えなければリスクは発生しないということです。ならば、その強みを交渉に活かすことで交渉スキルに長けていなくても優位にことを運ぶことができます。
そして多くの人が勘違いしてしまうポイントが「断る理由」です。メリットがあるか無いかはもちろんですが、「相手が信頼できない」「よくわからない」「相手の顔が気に入らない」といったことも、十分に断る理由になります。いろんな条件を提示されて、1ミリでも自分に損や「わからない」といった不安要素があれば、きっぱりと断ったり、自分の有利な条件に引き上げてもかまわないのです。それで相手が断念すれば「そもそもなかったこと」ですし、その条件を飲んでくれれば儲けものです。
そして、最終的にはその合意を結ぶために契約などが行われますが、その際にも細心の注意を払って執り行ってください。もし相手から書面を提示されたのであれば、基本的に相手に有利なことが書かれていると思ってください。どうしても不安があれば、自分たちで作成しても良いぐらいです。そうできないのであれば、完全に自分たちの不安が消えるまで読み込み、訂正を繰り返してください。
もしそこで、時間の期限が設けられて「早く契約してもらわないと困る」と言われたとしても、困るのは賛同者ではなく提案者です。不安要素があるままでそれを正直に受け取って契約を交わしてしまった時点で、その立場は逆転してしまうので注意してください。
稼いでる人は「稼いでいる」と言わない
こちらはSNSでもよく見るケースの1つです。「3ヶ月で1000万円稼いだコツ」や「未経験から1ヶ月で10万円稼いだ話」など本当によく見かけます。もちろん私もこの手法を使って記事を書いたことが何度もあります。
ですが実は、稼いでいる人は「稼いでいる」と言いません。なぜならそこには、ほぼメリットが無いからです。
確かに稼いでいるとなれば、それに憧れてファンがつき、インフルエンサーなどとして力が発揮できるようになると思うかも知れませんが、それぐらい稼げる人はインフルエンサーとしての力は必要としていません。だって、稼げているんですから。
そこからプラスαとしてSNSでの集客力を強化するために奮闘する人はいますが、そういった人は稼いだ額のような以下にも怪しい見出しを使わずとも十分にファンを集めることができます。というより、そうした方がよりクリーンなファンが集まります。
額面に騙されないコツ
人の記事を参考にするのは良くないので、私自身の記事で考えてみましょう。
たった2日で200万円です。1日100万円、時給にしても何十万というレベルです。これをタイトルだけ見て「凄い」と思った方は注意です。「どうせ嘘だろ」と思った人は、それを突き通すことができれば騙される機会は少ないはずです。「本当?嘘?」と思って読んでみてから判断出来た人は、その内容による誘惑に引っかからなければOK、しっかりと内容が読み取れて自分で判断ができたのであればなおOKです。
もちろんですが、この記事の内容やタイトルに嘘はありません。ただ、2日間で確かに200万円分の仕事は受注できましたが、その仕事にどれぐらいの時間がかかっているのかまで考えれば、実はそこまで大した金額ではなかったりするのです。
HP制作の仕事だったので、売上の大半を利益にすることができます。もちろん100%ではありませんので、仮に150万円が利益としましょう。
この仕事は助成金を利用して受注してくれたものなので、納期がかなり先のものでした。サイト制作に関しても、デザインからコーディングまですべてが含まれていますし、せっかくお金をかけて作るのだからといって、そこそこ手間のかかるような機能の要望もありました。結果としてこの2サイトを納品して、直後の不具合や修正対応なども含めるとトータルで4ヶ月ほどかかっています。単純に計算すれば、
37.5万円(1ヶ月) = 150万円 ÷ 4ヶ月
となります。普通の社会人の給料と考えれば高めだと感じるかも知れませんが、これは会社としての利益です(話をもらったのはフリーランス時代、正式受注したのが丁度法人化した頃です)。
かかった経費はマイナスしていますし、それが1人で稼いだ額だとすれば良いと考える方もいるかも知れませんが、この4ヶ月間に別の仕事が受注できていなければ、次の月はもちろん収益がありません。たった4ヶ月普通の会社員と比べれば多めの金額をもらっても、その後が保証されていなければ、それは短期バイトと何ら変わらないのです。
そう考えると、ただ額面が大きくても読み解いていけば「実は大したこと無いね」となることがわかります。SNSで大きな金額を出している人は嘘を言っていないとしても、その実際は私も含めて「大したことがない」のかも知れませんね。
年収1000万円は凄い?凄くない?
ここで少し「年収」の話をしましょう。「貯金1桁から3年で年収1000万円の社長になった話」などといったタイトルもよく見かけます。ですが、年収ほど当てにならないものはありません。
簡単に高額年収にする方法が1つあります。それは「借金」をすることです。例えば、2000万円の借金をして、自分に報酬として月100万円を支払えば年収は1200万円になります。実はこれは会社で良くあることなのです。借金をしていても自分にお給料が払えるという仕組みが、会社があれば簡単につくることができ、その会社を作るのも必要な書類と20万円程度用意しておけば1ヶ月もかからず設立できるのです。
中には「年商」というワードを使う人もいます。年商1億であれば、単純に考えればその会社に入ってくるお金が1億円あるということです。しかし、そこから支出(経費)などが引かれるわけですから、年商は全く当てにならないということがわかります。だって、10億円で仕入れたものを1億円で売ったとしても「年商1億円」になるんですから。
いくつか例を取り上げましたが、年収や年商など金額と言ったものがどれだけ曖昧なものなのかということが分かったはずです。そして、それを踏まえて考えると、本当に利益となっている金額を大々的に公表している人が少ないということもわかります。
更に言えば、本当に稼いでいる人は、やはり「稼いでいる」とは言わないのです。
「わからない」への対処方法
最後に総まとめ且つタイトル回収として「わからない」について考えていきましょう。
相手から持ちかけてくる以上、自分は「わからない」からスタートすることが当たり前です。ですが、本当に重要なのは「それにどう取り組み対処するか」です。
わかるまで取り組む
プログラミング学習などといったスキルアップの視点であれば、「わからないことはわかるまで取り組む」というのが1つの方法として上げられます。ただわからないで終えてしまえばそれまでなので、それを理解できるまで何度も取り組み、自分の物にするのです。これは前向きな姿勢からくるものであり、あくまで自分の意志で取り組み挑戦をする、自分に必要なことだと思えているからこそ成り立ちます。
それに対して必要でないことや興味の無いこと、完全の自分の領域外のことは「わかるまで取り組もうにも取り組めない」ものなのです。
わかるまで取り組むということは、それに対して真剣に取り組み、自分の力を以て解決するからこそです。その上で人の力を借りることもあるでしょう。しかし、他人から斡旋されることとは別問題だということを忘れてはなりません。
プログラミング学習を例にすれば、他人からメンターやスクールを進められた場合は、必ず自分よりも相手にメリットが発生します。自分の意志で自分からメンターを探して選んだり、よいプログラミングスクールを探すことと、行き着く先は同じであったとしても結果は大きく違ってくるのです。
シャットアウトする
私もよくやることなのですが、相手に対してわからない言葉を使って説明をすることがあります。ここには総じて「悪意」や「戦略」があります。
わからないことを言って、曖昧な状態で相手を頷かせたり、「自分たちではわからない難しい言葉を使っているから凄い」と思わせようとしたり、その人によっては様々ですがそういった意図があります。そうでなければよっぽど説明が下手な人なので、それこそビジネスパートナーとして考えている相手であれば大きな欠陥です。
もし、わからない言葉を並べられてついていけなくなれば、一度それをシャットアウトしてみてください。もちろんですが、シャットアウトした以上はあなたが「YES」と答えることは絶対にありません。返すのであれば「わからないから保留」か「わからないからやめとく」です。
不安があればこれ1択
シャットアウトするか、真剣にそれに対して解決する姿勢で取り組むかの判断基準として「そこに不安要素があるかどうか」が挙げられます。不安要素が残るのであれば、真剣にそれに対して取り組むことは、むしろ傷口を広げることになってしまいます。
わかりやすいのは「金銭」です。何かをするためにお金を払わなければならない、しかしそこに不安要素があれば、もちろんですが払うべきではありません。払ってしまえば取り返しは付かないと思っておくほうが良いでしょう。
金銭以外であれば「契約」です。よくわからない契約はもちろん、雇用契約や秘密保持契約など聞き慣れたものであっても細心の注意を払うべきです。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は「甘い誘惑に気をつけよう」をテーマにわからないことへの対処方法や甘い勧誘に潜む罠についてまとめてみました。
社会に出れば悪い人がいっぱいいます。ですがそれは「ごく当たり前のこと」です。だからこそ、警戒することや相手を見定めることは標準装備として自ら備えて置かなければなりません。
もし現在、こういった悩みに直面している人がいれば、ぜひ参考にしてくださいね。