レベニューシェアという言葉を聞いたことがありますか?
ビジネスの世界にいる人なら、意味は知らなくてもやったことがある方が意外と多いはずです。特にフリーランスの人や、プログラミングやデザインといったスキルを持っている人はレベニューシェアでは重宝されるため多い傾向があります。ここ最近爆発的な人気を誇るYouTubeでも多くで採用されています。
今回は「レベニューシェアとは?利益報酬・共同事業に潜む罠」について、そのメリットとデメリット、具体的なアドバイスをご紹介します。
夢見るプロジェクト
「良いビジネスの話がある」
こんな甘い誘惑を持ちかけられたことはありませんか?
内容は様々で、中にはネットワークビジネスや宗教や保険の勧誘といったものもありますが、本格的なビジネスの話となればフリーランスや起業して間もない方であれば食いついてしまうはずです。
その中でもよく考えて判断しなければならないのが、今回ご紹介する「レベニューシェア」です。
例としてアプリの開発で取り入れられているレベニューシェアを見てみましょう。
エンジニアのAさんに対して、Bさんがアプリ開発の話を持ちかけてきました。Bさんはリクルートの会社で採用エージェントとして働いていた経歴をもっており、人材派遣や新卒採用といったノウハウや人脈を持っています。それを活かして求人アプリを作りたいそうです。
もちろん、アプリ開発は大変な作業なので、Aさんは開発費を請求しますね。
ですがここで、Bさんから
「利益を分配しよう」
という共同事業の話が持ちかけられたらどうでしょうか?
Bさんからすると、上手くいくかわからないプロジェクトに対して数百万、数千万という投資はできるだけ避けたいと考えています。ですが、アプリの内容に関しては専門的な知識を兼ね備えているため需要は感じています。だからこそ、確定した利益を分配するという安全策を取ったのです。
Aさんの立場からすれば開発費が請求できませんが、もし上手くいけば継続的な収益となりますし、開発費の何倍もの利益が生まれるかも知れません。
このように、利益の一部をい貰うという契約で仕事を請け負うのがレベニューシェアです。
YouTuberの中にもこれに該当する人は多いはずです。
動画の企画は山のように思いつくが動画編集の知識がなければ、できる人に頼みますよね。ここで決まった編集費用を払わずに、広告収入を分配するという契約を結べば立派なレベニューシェアになります。
もちろん、収益化できなければスキルを無償提供することになりますし、収益化できたとしても微々たるものであれば同じことです。
プロフィットシェアとの違い
レベニューシェアと似ている、プロフィットシェアという契約形態もあります。
プロフィットシェアの場合は、収入を得る窓口となっている事業者が経費や費用を差し引きして、もし利益が残っていたら各共同事業者へ一定の割合分配するという方式です。この仕組み自体は会社のボーナス計算で利用されています。
窓口となるのは基本的に親企業です。経費や費用が差し引かれる分、基本的に支払われる金額はレベニューシェアと比べると少なくなりますが、開発時に必要になったものを各自負担ではなくプロジェクトの経費として賄ってくれたりするケースもあるため、どちらの方が良いという優劣はありません。
業界やどういったプロジェクトで採用されるかの差はありますが、小規模なものであればエンジニアやプログラマー、デザイナー、動画クリエイターなどスキル持ちに対してレベニューシェアなどの共同事業案件は持ちかけられやすい傾向があります。
それは、ノウハウはあるが技術を持っていないという人と、技術を持っているがそれを活かす場がないという人のニーズが合致しやすいからです。
レベニューシェアについて
では、レベニューシェアのメリットとデメリットについてと、プロジェクトへ参加するかどうかの判断基準や具体的なアドバイスをご紹介します。
メリット
レベニューシェアのメリットは以下の3点です。
- 初期費用を抑えられる
- 報酬が増える
- 夢が見られる
それでは1つずつ詳細を見ていきましょう。
初期費用を抑えられる
まず1つ目は初期費用を大きく押さえられるということです。
前項でも説明しましたが、実際に利益が出るかどうかわからないプロジェクトに対して資金投資をするのはリスクがあります。ですが利益報酬であれば、確実に赤字を回避しつつプロジェクトを進めることができるのです。
報酬が増える
2つ目は報酬が増えるということについてです。
企画者と2人のプロジェクトで、YouTubeの動画制作を担当した場合で考えてみましょう。
1本5万円という報酬で注文を受けた場合であれば、作った分だけ報酬がもらえますが、その結果がどうあっても金額は変わりません。
作った本数 ✕ 50,000円
→ 作らなければ0円、広告収入が増えても同じ
ですが、レベニューシェアで利益の分配で契約していれば、広告収入が月に100万円となれば50万円の報酬がもらえます。これが続く限りは動画を作らなくても報酬がもらえますし、広告収入が増えれば、それだけ報酬が増え続けるのです。
月額 = 100万円 / 2
→ 増える可能性あり、作らなくても貰える可能性有り
夢が見られる
3つ目は夢が見られることです。
この言葉だけを見れば「そんなのメリットじゃない」と感じるかも知れませんが、レベニューシェアの案件を受ける人の大半が、この儲かるかも知れないという夢に期待を膨らませているのです。
持ちかけられる案件が、新しく斬新的な試みであったり、現在話題になっているものや、儲かっている人が多いビジネスであれば、「そのチャンスが自分にもやってきた」と期待に胸を膨らませるのは当然のことですし、その夢を抱いている期間は幸せな気分が味わえるのではないでしょうか。
デメリット
レベニューシェアのデメリットは以下の3点です。
- タダ働き
- モチベーション低下による解散
- 資金投資への懸念
それでは1つずつ見ていきましょう。
タダ働き
ネットショップで考えてみましょう。
商品が売れたら、売上の10%を報酬として支払うという契約でネットショップの作成を頼まれた場合、もちろん売れなければネットショップを作る時間はタダ働きとなってしまいます。
だからと言って、売れたら解決するわけではありません。1,000円で1つ売れたとしても報酬はたったの100円ですし、もし1,000万円の売上が上がったとしても、それに3年という月日を費やしていれば、1ヶ月辺り約3万円程度の報酬です。保守をしていたり、運営の補助もしていればこれだと安すぎますね。
このように、作る側からすれば完全にスキルを無償提供しているに過ぎませんし、商品を仕入れる立場からしても、売れなければ在庫を抱え込んでしまうというリスクも含んでいるのです。
利益が出れば報酬が支払われるという仕組み上、利益が出なければ報酬は払われず、時間だけが過ぎていくため、微々たる報酬が発生したところで時給1円にもならないことも考えられます。
モチベーションの低下による解散
次はYouTubeで考えてみましょう。
収益を発生させるために、企画をして動画編集に凝って動画を配信していても、思うように結果が出なければ日々モチベーションは低下します。もちろん低下すれば更新頻度が落ちてしまったり、クオリティの低下にも繋がりますので、更に結果は出なくなります。
モチベーションが失われてしまえば結果的に解散することになります。結局は最初のデメリットで説明した通りタダ働きです。レベニューシェアでは誰か1人のモチベーションが低下してしまえばプロジェクトが崩れてしまう危険性を孕んでおり、成果報酬という仕組みが各自への強制力やプレッシャーを潰してしまっているのです。
資金投資への懸念
初期費用が抑えられるというメリットがある分、途中で資金投資することに消極的になってしまうのもレベニューシェアでは起こります。特に小規模であればそれは顕著です。
例えばアプリ開発で考えてみましょう。アプリ内で画像を使用する際に有料のものを使うか無料のものを使うかで意見がわかれると、無料に軍配があがります。特に成果が出ていない状態であれば有料を推す人はより少ないでしょう。
もちろん、これには正解はありません。ですが、これが本当に必要になるものへの投資でも同じようなことが起こり、結局は成果の出ないタダ働きのプロジェクトとして終えてしまうことになってしまいます。
YouTubeの場合であっても同じです。最初の頃はお金を使う企画を考えて挑戦したとしても、それで十分な再生回数が見込めなかったり、登録者数が増える気配がなければ、日に日に節約ムードへと変化してしまいます。
資金投資することは解決策には直結しません。ですが、それに対してリスクだと感じるようになれば、「儲かるかも知れない」ということ自体に疑いが生まれ、プロジェクト全体で悪い流れを生んでしまうことになるのです。
具体的なアドバイス
それでは、レベニューシェアの案件を持ちかけられた場合の判断基準や、もし引き受けてしまった場合の対応方法について、具体的なアドバイスを挙げていきます。
今回ご紹介するのは以下の3点です。
- 仕事の負担量
- 上下関係
- 判断ポイント
それでは1つずつ見ていきましょう。
仕事の負担量
重要なのは業務量です。契約をする際に、どのぐらいの仕事の負担があるか必ず確認しておきましょう。
ネットショップを作る場合であれば、要望に応じて作り込んでいけばキリがありませんし、ネット集客も担当させられたり運営も任された場合はかなりの業務量になりますね。場合によってはLPや商品画像も作り込まなければいけないという状況も考えられます。
更に追い打ちとなるのが、売れない状況に立たされた時です。売れない原因がページのデザインと言われてしまえば、その変更作業だけでも膨大な量となりますし、リニューアルするとなったらどんどん作業量は増えていきます。
どんなプロジェクトであったとしても、作業量が均等に割り振られることはありません。なぜなら業務内容自体が違っていますし、上手く立ち回ることで業務量を減らす人は少なからず存在するからです。
ですが全員が他人任せになってしまっても、プロジェクトが上手くいくことはありません。結局は誰かが責任感と負担を抱えて進行しなければならなく、それに真剣に悩んでいるのもその人だけだからです。
上下関係
もしプロジェクト内で上下関係が存在すれば注意です。もし提案を受けた際に上下関係が存在しており、特に下の立場であれば謹んでお断りするほうが得策です。
下の立場にいる人は、上下関係があればいいなりになってしまいがちです。自分の意見が通らなかったり、結果が出ないことが自分の責任にされてしまうことで、やはり作業負担が増えることにも繋がります。
下の立場で業務を請け負う場合は、レベニューシェアではなく業務委託として作業時間または量に対して報酬を貰うようにしておきましょう。結果的にプロジェクトが上手くいったとしても、リスク回避をしておくほうが賢い選択です。
上下関係が曖昧な場合は、できるだけ同じ立場で意見を出し合えるポジション取りをしておくことです。そのためには原則として作業量や成果でアピールして、スキを作らない立ち回りをすることが懸命です。
判断ポイント
案件を持ちかけられた場合の最初の判断ポイントは契約内容です。業務量はもちろんですが、その成果報酬や条件などもしっかり読み込んで、納得のいくものであれば引き受けてください。
別の参考資料として、プロジェクトの計画書などを要求できるのであればしておくほうが得策です。行き当たりばったりのものは、表面上の期待値に踊らされている可能性が高いからです。
もしすでに参加してしまっているのであれば、引き際という判断ポイントを明確にしておきましょう。これには長期目標と短期目標を定めておき、判断基準とすることをオススメします。
結果が出ないままズルズルと引き伸ばしてしまえば、時間というコストはもちろん、金銭的なマイナスも膨らむ一方です。そして、モチベーションも下がってしまえば継続する意味は皆無です。
引き際が明確になっていれば、その地点まではモチベーションを維持しやすくなりますので、努力が良い成果へと繋がることも考えられます。それで十分な成果が出ないのであれば、それはビジネスとして成り立っていないものだと割り切らなければなりません。
辞めてしまった時点でタダ働きは確定しますが、その期間を長くしないためにも賢い損切りをすべきなのです。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は「レベニューシェアとは?利益報酬・共同事業に潜む罠」について、フリーランスや副業に悩んでいる人が陥りやすい甘い案件の見極め方をご紹介しました。
行動だと言って様々な挑戦をすることは悪いことではありません。ですが、その判断や見通しが甘ければ傷口を広げていくことになりかねません。
これから大きなビジネスへ挑戦しようと考えている方や、突破口を試行錯誤している方は、ぜひ参考にしてくださいね。